ディズニーシーの夜空に、「ビリーブ！」という力強い歌声が響き渡る。光と音楽が一体となり、水面を美しく彩るショー。観客の歓声が上がる中、浩司は目の前の光景に見入っていた。
「懐かしいな…」
ふと隣に立つ美咲が言う。
「そうだな、5年前のあの日を思い出すよ。」
浩司もつぶやき、微笑む。
それは5年前、まだ大学を卒業したばかりの頃。就職先は決まったものの、将来に対する不安を抱えていた浩司と美咲は、友達数人と一緒にこの「ビリーブ」を観に来た。
「社会人になったら、こんなふうに集まるのも難しくなるのかな。」
そんな話をしながら、パークを歩き回り、ショーが始まるのを待っていた。
ショーが始まると、圧巻の光景とメッセージが二人の心を揺さぶった。
「信じ続ければ、夢は叶う。」
その言葉に、浩司も美咲も思わず静かになった。
「私たち、これからどうなるんだろうね。」
美咲がぽつりとつぶやく。浩司は答えに詰まりながらも、「きっと、大丈夫だよ」と励ますように言った。その言葉には、自分自身へのエールも込められていた。
あれから5年。二人はそれぞれの道を歩んできた。浩司は新卒で入った会社で厳しい環境に揉まれながらも、地道にスキルを磨き、今では安定した仕事と自信を手にしている。美咲もいくつかの試練を乗り越え、転職を経て、今では自分の好きな仕事に誇りを持って取り組んでいる。
ふとしたきっかけで連絡を取り合い、久しぶりに再会することになったのが、このディズニーシーだった。
「まさか、また一緒にビリーブを観ることになるなんてね。」
美咲が笑う。その声に、浩司も自然と笑顔になる。
ショーはクライマックスを迎え、花火が夜空に大輪を描く。歌声が響く。
「信じて、進み続けて。」
浩司はふと、美咲の横顔を見た。大学時代の不安げな表情は消え、今ではどこか自信に満ちた穏やかな顔がそこにあった。浩司もまた、過去の自分を思い出しながら、心の中でつぶやく。
「よくここまで頑張ったな、俺たち。」
ショーが終わり、静けさが戻ったパークを歩きながら、美咲が言った。
「ねえ、あの時、夢ってなんだったか覚えてる？」
「ぼんやりとしてたけど、きっと今がその答えなんじゃないかな。」
浩司はそう答えた。
「信じて歩けば、きっとまた違う夢も叶うよね。」
美咲の言葉に、浩司は深くうなずいた。
二人の背後で、ミラコスタの灯りが静かに輝いている。その光はまるで、これからの未来を優しく照らしているようだった。
この物語を読んだ誰かが、過去の自分を振り返りながら、これからの未来に希望を持てますように。そして、「信じる力」がいつか新しい景色を見せてくれると信じてほしい。それが、ディズニーシーの「ビリーブ」が届ける魔法です。
