夜空に輝く無数の光、そして心を揺さぶる音楽。「ビリーブ!」という力強い歌声が水面を渡り、花火が空を彩る中、浩司は思わず目を閉じた。気が付けば、涙が頬を伝っている。
「どうしたの?」
隣でその様子を見ていた妻が小声で尋ねる。膝の上には3歳の娘がじっとショーに見入っていた。浩司は妻に微笑みを返しながら、5年前の記憶が鮮やかに蘇ってきた。
それは5年前、彼女だった今の妻と一緒にこの「ビリーブ」を観た時のこと。社会人になって数年が経ち、浩司は仕事に追われる毎日に疲弊していた。会社ではなかなか結果を出せず、将来が不安で、どう進んでいけばいいのかわからなくなっていた。
「このままじゃ、彼女を幸せにできないんじゃないか」
そんな漠然とした不安が、心のどこかにいつもあった。
彼女はそんな浩司を励ますように言った。
「たまにはリフレッシュしようよ。ディズニーシーに行って、ショーでも観よう。」
その日の夜、二人で立ち寄ったのがこの「ビリーブ」だった。
ショーが始まり、幻想的な光と音楽に包まれる中で、耳に飛び込んできたメッセージが浩司の胸を強く打った。
「信じ続ければ、夢はきっと叶う。」
その瞬間、浩司は思わず涙をこらえられなかった。
「どうしたの?」
その時も彼女が心配そうに声をかけてきた。浩司はただ首を振り、光に目を向けたまま言った。
「俺、もう少し頑張ってみるよ。」
彼女はにっこりと微笑み、手をそっと握り返してくれた。
あの日を境に、浩司は変わった。スキルアップのために夜遅くまで勉強し、仕事では小さな成果を一つずつ積み重ねた。時には失敗して落ち込むこともあったが、あの「ビリーブ」のメッセージを思い出すたび、立ち上がることができた。
そして、少しずつ状況は変わり始めた。転職に成功し、収入が安定した頃、彼女にプロポーズをした。二人は結婚し、娘が生まれ、今では家族3人でまた同じ場所に立っている。
ショーのクライマックス、夜空に舞う花火が大輪を描き、光の洪水がステージを包み込む。
「信じ続けて、諦めないで。」
あの言葉が再び胸に響く。浩司は涙を拭いながら、隣にいる妻と娘を見つめた。5年前のあの日、何も見えなかった未来が、今ではこんなにも明るいものになっている。
妻がそっと浩司の手を握る。
「夢が叶ったね。」
浩司は微笑みながらうなずいた。
「本当にそうだな。ありがとう。」
ショーが終わり、パークを歩く帰り道、浩司はふと立ち止まり夜空を見上げた。
「また、これからも信じて歩こう。」
未来への希望が、ミラコスタの灯りとともに家族を優しく包み込んでいた。
この物語が、どんな暗闇にいても未来を信じ続ける力を与えることを願っています。「信じる気持ち」があれば、きっと明日は今より少しだけ輝いているはずです。それが、「ビリーブ」が届ける魔法です。